3人の女(1977)


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ロバート・アルトマン監督作。ジャンルはサイコサスペンス日常物って感じかな‪w。導入から説明不足なシーンに意味を与えるBGMが不穏に響き冒頭からもう良質映画の雰囲気が出てる。映画はやっぱ音楽大事だよな。めちゃくちゃ病んだ世界観はミヒャエル・ハネケに近いと思った。でもこっちの方がシナリオがしっかりしてて、2転3転する展開が面白い。

期待してなかったけどかなり面白かった。出てくるキャラクターもみんな面白いし、キャラクターの心情もよく描けてる。介護施設?のロケーションも凄いいいし、何か示唆的な絵とか、視聴者を突き放しつつ繋ぎ止める感覚も優れてる。女性もあんまり可愛いとは言えない感じの女優さんなんだけど、魅力をすげえ引き出しててバッチリのキャスティング。ロバート・アルトマンくそ有能やわ。

この人は絶対地味やけど良い作品をいっぱい撮ってるはず。また他の作品も観てみたい。

シン・ゴジラ(2016)


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エヴァ庵野秀明監督作品。ゴジラシリーズは今まで見た事がない。3.11に影響を受けて当時の日本の状況を参考に製作されたであろう作品であるが、コロナにも当てはまり裏側はこんな感じだったのかなと想像出来る。つまり現代日本人には旬でマストな作品である。旧劇の後にこれみたんだけど、あれ?庵野監督の核ってこっちなのかなと思った。

庵野監督といえば代表作エヴァンゲリオンのような哲学的な要素が核にある印象だったが、この作品にそうした要素は一切ない。どこまでも唯物的に生命を扱っている。例えばこの作品大量に人が死んでいるはずだが、死んだなってシーンはあっても死体が殆ど出てこない。これは不思議だ。つまり庵野監督には人の生き死になんてどうでも良くて、ゴジラの脅威や災害の悲惨さを伝えたいんじゃない。飽くまでももし本当にゴジラが日本に上陸したらというシミュレーションが描きたいのだ。庵野監督の核は哲学的要素ではなくシミュレーションのレベルの高さだったのだ。この作品前評判通り殆どが会議してる。ゴジラは実際に現れると政治問題であり国際問題なのだ。その様子を日本という国のシステムに当て嵌め事細かにシミュレーションしている。オチとして日本の政治を憂えてるような感じで終わってるけど、心底では別にどうだってよさそう。エヴァの頃と変わらずやっぱ庵野監督に伝えたいことなんてない。宮崎駿なんかは現代社会の人の在り方なんかを心底憂えて嫌悪してそうやけど、庵野秀明はどんな事になってもそれはそれで受け入れそう。その証拠にこの作品色んな俳優がいっぱい出てるんだけど、配役がめっちゃ俗っぽい笑。これテレビ大好きな人が配役したやろみたいなメンツで庵野監督って意外とその辺柔軟な人なんだなと驚かされた。ただやっぱアニメと違うんで実写でやると不自然な表現も多くて説得力にかけるとこもある。それが功を奏したとこもあってカメラを俳優がパスしあって撮影してるシーンとか実写では斬新な演出があって面白かった。実車だと制作側としてキャラを俳優にある程度任せれる分、監督的には楽なのかも。

旧劇で限界かなと思ったけど、それは誤りで俺が考えてる以上に職人芸的な型がある人でその型を使えばいくらでも作品が作れそうだった。天才やわ。この成功に続きシン・ウルトラマンの制作も決定しているらしい。なんかまたエグい設定考えてきそうで期待。

M★A★S★H マッシュ(1970)


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ロバート・アルトマン監督作。アメリカ軍の朝鮮戦争下での野戦病院の生活を描いたコメディー。朝鮮戦争とか野戦病院とかよく分からん背景の上、分かりやすい筋書きもないので取っ付きづらく、そのぶっきらぼうさに好みは別れる。爆笑できるとかそういう感じでもないが、自分的には徐々に味が出てくるスルメ映画でした。

戦争の狂気を描き、反戦的なメッセージが込められているというが全く分からなかった。俺には近所のセンスのいい兄ちゃんみたいな雰囲気を作品に感じたが。70年といえばまだ戦争が生々しかった時代この作品のように戦争を批判と言うより小馬鹿にしたような態度は、当時はかなり鮮烈だったようだ。確かに今の日本のコメディードラマなんかに通じるシニカルな笑いを感じるし今見ても全然古びてない。現在の映像文化の礎となった作品であるから逆に新鮮さもないのかもしれない。印象に残る場面も多かった。啓蒙的なメッセージは何も感じなかったがまたこの監督の他の作品も見てみたい。あとコメディーは吹き替えに限るな。

新世紀エヴァンゲリオン Air /まごころを君に(1997)


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所謂旧劇ってやつ。実はエヴァってちゃんと見てないんだよね。まぁ、これ程の有名作品だと大体の情報は勝手に入ってくるものだけど、実際見るのはすごく怖かった。予想通り、終始心痛に苦しめられた。これは言わば表現という名の自殺だよ。

…まぁ実際見てみて予想を裏切られたのは意外とキャラに魅力が無いこと。キャラデザとかは勿論いいんだけど、魅力が無い(これについては後で語ろう…)から彼らが残酷な目にあっても可哀想つーか…哀れという感想しか湧かず、只々不快感募るだけで自分の身が切られるような苦痛は無かった。全体的にこの映画はキモくて怖かった。庵野監督がインタビューでエヴァ現象みたいなんを不健全と見なしオタク共をエヴァから卒業させようとしたけどその方法が、とにかく嫌なものを見せてエヴァを嫌いにさせるっていうね。アスカは性格的にダメな部分を極限まで引き出して、レイはくっそキモイ巨人にした。もう本当執拗なまでに終始キモかった。溶けだす筋肉むき出しの骨。はみ出る臓物。あるれ出す体液。ギョロギョロ動く目玉。不快な喘ぎ声、叫び声……。あらゆるゴア表現を駆使し、これはもうエヴァという作品を殺そうとしてる。そんでシンジが神になってからのラストまで続く長い独白ね。エヴァって作品は監督本人が言ってたけど衒学的なんだよね。あと、やっぱビジュアルの鮮烈さが凄い。でもそのガワを剥ぎ取ると病んでる中学生の日記帳みたいなのしか残らないんだ。作品と作者は切り離して考えるべきと言ってもやっぱり自分が考えてるものしか作れないから、どうしたって作品と作者はイコールなんだよ。そんでこの人はオッサンになって未だにそんな中学生の日記帳みたいな事ばっか考えてるなんて事を映画で世界中に発信したんだよ?シンジを通してね。これは表現者として自殺行為だよ。二重の意味で自殺だよこの作品は。斬新だよ。こんな映画は観たことがない。映画を見て満足感が得られたかと言われると疑問です。面白かったのかどうかも分からない。ストーリーがどうこうより、ジェットコースターやお化け屋敷の感覚に近かった。これはシンジと同じ中高生のうちに見ておくべき作品だったかも。それくらいこの映画の核の部分シンジの独白は今の俺にはどうでもよかった。

…キャラの魅力について

キャラの魅力について考えてみよう。庵野監督はキャラを本当記号でしか捉えてない印象がある。アスカとレイの対比にしても髪の長い方と短い方、性格の明るい方と暗い方、でこれで女の子の特徴を全部網羅してると語った。本当それぐらいの扱い…。中身は空っぽなんだよ。いやアニメのキャラに中身なんてないんだけどね。でもそれがあるっぽく見せるのが醍醐味じゃん!みんなその嘘に夢中になるんだよ。でもエヴァはガワだけで、中身はまんま庵野監督なんだよなぁ。いや、庵野監督に魅力が無いとは言わないよ。でも俺はやっぱアニメにはキャラを求めてるから。そういう観点で語るとやっぱこの映画好きな映画では無かった。まぁそれもまた一要因に過ぎない。好みの問題でやっぱ凄い作品なんだけどね。中高生くらいに見せたら人生狂うレベルの作品であることは間違いないんだ。しかし、この先があるのが恐ろしい。エヴァ新劇観てないけど、みんなが見たいエヴァって方向に進んでたら危険やぞ。庵野監督そんな器用な人じゃないやろ。魅力的なガワを作るセンスは天下一品やから勘違いされがちやけど、中身が死にたいくらいの感情しかないし、思想とか欠片もなさそう。ただ単に楽しいだけの映画で終わらせる事は可能かもしれんけど、それってエヴァである意味ある?ってなるやろ。やはりリメイクに手を出すべきではなかったんじゃ…(勝算はあるのか)。まぁ次はシン・ゴジラ観て今の庵野監督がどんな状態なのか確かめよう。

スリーピー・ホロウ(1999)


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ジョニーデップ主演ティム・バートン監督作。ティム・バートンの最高傑作という声もチラホラ。まぁまぁのグロ注意です。こういう中世(近代)ヨーロッパの世界観大好物。なぜなら女性の服がエロいから。最高傑作かって言われてるとバットマンリターンズの方が面白かったけど、欠点のないエロチックダークファンタジーホラーミステリー(なんじゃそりゃ)の傑作でしたね。問答無用の残虐さが刺激的で、一家の殺害シーンとか理不尽で怖かった。床下の隙間から床に落ちた母の生首と目が合うシーンなんか最高。集会所(?)で首無し騎士に襲われて娘が倒れたとこの構図美し過ぎて芸術の域に達してた。

ストーリー、演出、構図、美術、エロさ、どれをとっても素晴らしかった。欠点みたいなのを挙げるとしたら、話の内容が田舎村で殺人事件を1つ事件を解決するだけなので壮大さに欠けて見終わったあとの読後感に浸れる感じは薄い。あと自分の好みとしてはヒロインが幼過ぎるかな。けど、この女優さん当時19歳くらいなんやね。合法ロリか…。

ケイゾク Beautiful Dreamer


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テレビスペシャルを挟んでの続編映画。この作品絶対賛否両論だろうな。僕は完全に否ですねぇ…。まぁ最悪とも言いきれない。映像は素晴らしい演出もかっこいい。でもメインキャラを簡単に殺し過ぎだ。弐係の連中に対して視聴者は既に愛着がある訳だからそんな簡単に殺しちゃいけない。タンツボはまだええわ。でも紗理奈はアカンやろ!あそこで完全に冷めた。何がやりたいんか定まってないとしか思えない。そもそも柴田ってこんなマジキチキャラじゃなかったやろ。シャワーシーンとかラブロマンス展開したいなら普通に裸でええやろ。から回ってるわ〜。視聴者にショックを与える為だけに映画撮ったのかと言いたくなる。タンツボの生首持って走るとことかね。しょーもない。犯人の女の子の演技は素晴らしかったけどね。正直泣きました。しかし、ケイゾクは超常現象肯定派のドラマとはいえここまでするのか。人類補完計画やん笑。朝倉のキャラにテコ入れ入ってるし、無人島で殺されるのは最初の3人だけでミステリーとしても中途半端。ギャグで見ても劣化TRICKやし。人の生き死にを軽く扱って空回りして全てが陳腐だったと思う。こんな事ならいっそTVシリーズとは違う監督に撮らせてみたりした方がよかったんじゃないか?豊田利晃とかなら真山のキャラをもっと引き出せただろ。スペックはケイゾクの反省が活かされているのだろうか?ギャグが加速してると聞いたけど、生瀬さん完全に合ってなかったからなぁ。ギャグはTRICKでいいでしょ。

ケイゾク(1999)


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スペックの脚本西荻弓絵と監督堤幸彦のコンビによる刑事ドラマ。タイトルのケイゾクとは迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係のことをそう呼ぶ。時代とはいえ、毎回警察の係長の援交ネタから始まるって相当狂ってんな笑。まずこの作品の魅力はなんと言っても渡部篤郎。彼の狂気的な演技を無くしてこの作品は語れない。この作品は全体的に雰囲気がB級っぽい(主題歌のエロゲ感といい…)。B級だからこそ越えちゃいけないラインを越えられた作品と言える…。トリックや証拠に「んっ?」となる部分が多くて刑事ドラマとして観ると正直イマイチだと思う。しかしこのドラマで良いのはいつも犯人の動機にマイノリティーへの救いがある所だ。犯人に同情させるような作りになっていて事件が解決してスッキリする事が一回もない。特に5話の霊能者の事件は秀逸で例えば踊る大捜査線なんかはコメディー的なイメージとは裏腹に非常に現実的でシニカルな視点があるのに対し、こちらは超常的なものに対し好意的な視点を表す。それまでの刑事ドラマと一線を画す所だ。それがこの後の展開に対する布石にもなっている。

まぁ、その終盤の展開が個人的には気に入らない。メインキャラがバッタバッタと死んだり死んだっぽく演出されるのは好みの別れるところだ。8話から急速に物語の焦点が真山の背景へと絞られていくのだが、この作品の1番の魅力はなんと言っても渡部篤郎の狂気的な演技だ。しかしその背景が見えてくる度にそれがどんどん陳腐化していったように感じられた。それは黒幕の朝倉というキャラクターのつまらなさに寄る所である。朝倉は催眠術を駆使し人々を操り殺人を繰り返し…その姿を次々と変える正体不明の殺人鬼だ。そのキャラクターは黒沢清のcureに出てくる萩原聖人演じる間宮に酷似していておそらく作品自体強い影響を受けてる。朝倉はその能力とは裏腹に性格は凡庸だ。彼は殺しをゲームと語っており、自分の能力に酔いしれ人を威圧し恐怖で支配することを好む。最終回の野口五郎の演技から察するにその性格も幼稚でありがちなイキってる厨二病患者みたいで痛々しい。もっと特別で底知れない恐怖を感じさせるキャラであって欲しかった。こいつのキャラが浅いせいでそれに翻弄される真山も微妙に見えてしまう。あと最後の柴田と真山のキスシーンとかマジで要らん。このドラマはもっとひねくれてダークに締めるべきだ。実験的要素が非常多くその失敗と成功も顕著で非常に惜しい作品だと思う。