Portia fading - breath flows caressing a lips pour savliva(2014)

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portia fading(ポーシャ・フェイディング)は東京で活動する四人組ロックバンド。その1stアルバム。彼らの音楽は一言で言えば、モグワイとかの静と動を行き来する轟音ポストロックに歌が乗ったものだが、そう言われるとよくあるオルタナティブロックをイメージされるかもしれない。しかし、彼らの音楽はオルタナティブロックとはあまり結びつかない。オルタナってのはざっくばらんに言えば歌謡曲とパンクロックの融合であると僕は定義しているのだが、彼等の場合バンドが歌を歌うための伴奏ではなくコードとメロディが美しく融和している。それはオルタナというよりもっと遡り、パンクの時代に袂を分けたハードコアパンク(パンクの直線的な演奏を追求したもので緩急がなく歌の伴奏という発想がなくて全部シャウトで乗り切る硬派な音楽w)、そこから派生したポストハードコア、エモとかそういうバンドに近く、彼らの曲はコード進行とメロディがどちらに振れるでもなく同じ比重で同時に行われる。このジャンルのバンドは殆どが歌が下手でなんぼというか、その逃げ口上の為に用意されたようなジャンル(ていうのは言い過ぎ)で、例外を挙げればsunnyday real estate。このバンドにしてもオルタナよりのエモなので、portia fadingのような音楽性は更に特殊。これが可能なのはボーカルの高音域で美しく伸びる声質と彼らが日本語詩ではなく英詩によるスムーズな歌唱を選んだからではないかと思う(さっき挙げたsunnyday real estateも同じタイプの声質の持ち主である)。ハードコアの全てをねじ伏せるようなシャウト歌唱も好きだが、こういう演奏に埋もれず美しいメロディを奏でるタイプのボーカルが一番好きだ。このタイプで僕が好きなボーカルはSunnyday real estate、Mercury Rev(2代目)、日本で言えばUrema等がいる。Uremaは2016年に解散してしまったのでファンの人は聴いてみてはいかがでしょうか。

シテール島への船出 (1984)


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テオ・アンゲロプロス監督作。相変わらずの説明不足っぷりと、特に客の気を引くつもりもない淡々とした展開で、ぼーっとしてると水のように流れていきもうそこにはない…。興味のない人にはあらすじすら理解されず終わる映画だろう。しかし、注目して観れば幾らでも発見がある。そういう押し付けがましさのない深みがあるのがこの監督の作品の良いところ。監督は独特な視点を持っていて、殆どがロングショットで画面の切り替えを極力しない超長回し、役者の演技を捉えるというより、人間がぞろぞろ集まって離れていく、そうした推移を眺めているのが好きなんだろうな。役者の演技よりも、そうした人間が起こす団体の行動からその状況や人々の心理を読み取るのがこの監督の映画の醍醐味である。それは面白いんだけど結構面倒くさい事でもあり、この監督の映画を観ているとどうしても一時間くらいで眠くなる。だがそこでパソコンで見ていた場合、二窓にして別の作業を始めたりするのはいけない。淡々としながらも変化の激しい繊細な作品なので直ぐに内容を見失う。退屈なようで常に映像にはなにか仕掛けられていてそれを読み取る努力でギリギリ寝ずに済む。このとても微妙なバランスはこの監督しか持っていない唯一無二の世界。そして常に考えられた美しい構図。自然。建造物。それしか映っていないスキのなさ。…どうやって作っているんだろうと思う。まさか老人が海の上に傘を指して立っている画から想像していったりするのだろうか。この人の作品は一回見てダメでも再チャレンジすれば、結局どれも同じくらいの評価に落ち着きます。そうならなかった時は自分の観察が足りなかったのだと…(笑)。

夏時間の庭(2008)


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オリヴィエ・アサヤス監督作。パッケージやタイトルから漂う穏やかでアットホームな雰囲気とは裏腹にマジでリアルな遺産相続の話だった。これは確信犯だな。てゆーかこんな楽しくない題材よく取り扱うなぁと変に感心した。マジでクソガキがひどい。婆ちゃんの思い出の家をよくここまで貶めることが出来るなという使い方をしていて逆に凄い。エログロなサスペンスとかそれらしい題材を選ばず、ここまで『ありそうな話』で嫌な気持ちにしてくれる監督はこの人しかいない(笑)

ジュリアン(1999)


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ハーモニー・コリン監督作。これ多分、木下理樹好きそうだなと思って借りてみた。盲目の少女がアイススケートで云々って歌詞は恐らくここからですね。画質からして病的で、音楽もかなりイカれてて不健全。知的障害者のジュリアンとその家族を中心にドキュメンタリータッチで撮られた作品。コラージュ的な手法はレクイエムフォードリームと似てたな。痛々しく胸に刺さる感じはギャスパーノエっぽくもある。この映画はもうちょっと逃避的で幻想的にポッと浮かび上がる感じかな。この監督の映画は前にスプリングブレイカーズを観たけど大分飛躍してるな…。ドキュメンタリータッチでどこか逃避的なところは変わってないかな。それにしても黒人の教会かっこい過ぎやろ。厳粛さの欠片もないな。

僕たちの舞台(1998)


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ニコラ・フィリベール監督作。演劇学校の生徒たちが、台本のない劇を自分たちで作り上げていく姿を追ったドキュメンタリー映画。青春でした。自分の学生時代では経験しなかった級友達との熱い対話が観られ、二度目の青春を過ごしたような贅沢な体験でした。映像は嘘がつけないと思った。映る人間の姿が嫌でも垣間見える。インタビュー映像でニヒルな奴と、そいつが批判したようなタイプの仲間のものを繋げたり。全員を敵に回して自分の主張を聞かせる面倒くさいやつと、その後に良いやつそうだなと思ったやつがその後仲間との結婚を発表したり。多少意地悪というか対象的な人物を照らし合わせるような意図があるのかなと思った。そんな総てが面白いというような監督の目線を感じました。

水の旅人 侍KIDS (1993)


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大林宣彦監督作。日本映画にもヤバイ映画作る監督いるだろうと思ってTSUTAYAの棚を片っ端から探したが、…ほぼ無いですね。予算がないからかエログロばっかでつまんない、気になるのは実相寺昭雄豊田利晃石井岳龍ぐらいですね。そんな中みつけたのがこの映画。これはそんなのとは対極にあり、子供会や遠足のバスで上映するとメチャクチャ喜ばれる類の映画です。

17cmの一寸法師みたいな侍の爺さんと少年の冒険ファンタジーです。撮り方がうまく、全く違和感なく小人に見える。古いのにすごい。カラスと闘ったり、ガンガンアクションしてて面白い。ロケーションも色使いも部屋に置いてある小物なんかも良いですね。音楽も良い。子供の情操教育に優しい、とにかくいい話でした。先生役の原田知世さんが可愛かった。キャンプ場で増水した時に悟ったようなことを言う爺にちょっとムカッとしました(笑)あと、父の実家に行った時の母のちょっとムッとした感じの緊張感が謎でした。

メイキングもNHKの番組みたいな丁寧で優しい作りで非常に楽しめます。自然に優しくってテーマだから雹を降らせるシーンでも氷砂糖を使うという徹底ぶりは素晴らしい。監督とカメラマンの関係の話すごく面白い。ロケーションも凄いですね。なければ道を作ってしまう。「映画は嘘だから、嘘が似合う場所を選ぶ」って名言ですね。小人の合成に違和感がなかったのもかなりの工夫が為されていたようです。そうか、この頃CGないから全部合成かぁ…難し過ぎてよく分からなかったけど、ほんの数秒の土塀のシーンにもメチャクチャ手間がかかっていることが分かった。子供は生きているだけで魅力的だから余計な演技はさせず自然にさせるってのは物凄く共感しました。子供が全然だめな映画ってあるよね。逆に子供がいい映画はとても好きです。監督の覚悟の話はすごいな。これ本編より面白いかもな(笑)

ヤバイ映画ではないけど、子供騙しとかそういう部分の全くない素晴らしい映画でした。

アリス (1988)


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ヤンシュバンクマイエル監督作。オテサーネクで完全にハマった監督。長編デビュー作品。これ観て天才だなと思った。初めて観たのはルナシーだったんだけどその頃には既に才能翳ってたと思う。不条理極まりない内容だが、何が起こるのか分からず、兎に角目が離せない。CGは全く用いらず、殆どストップモーションアニメで表現され、その動きもリアリティではなく絵的な面白さを求めてる感じが良い。「取っ手は取れる。」「取り敢えずなんでも口に入れてみる。」「必要のなくなったものは投げ捨てる。」等のリフレインとなる要素が癖になり、作品を特徴づけている。最終的に夢?の影響でアリスはハサミで何でも首はねまくりのサイコ少女になったのかなと想像する。やっぱりこの作品でも幼少期の道徳観念のない純粋な悪意を取り扱っている気がする。