魔法少女隊アルス(2004)

NHKスタジオビットくん内で放送されていたアニメ。名作でしたね。これの前にジャイアントロボ三日月を観てこんな天才を今までスルーしていたのかと感動した。その作品で監督を務めた雨宮慶太が本作では企画原作を務める。 和製ハリーポッターと言いましょうか。兎に角くっそおもろいアニメですね〜。

ジャイアントロボでも思ったのですが、この人は風呂敷を広げておいてきっちり畳める人です。庵野秀明と実写とアニメに携わったり取り扱う内容なんかにも共通項があって何かと比べてしまいますが、きっちり作品を完結させてくれるという点で雨宮慶太に軍配が上がります。天才的な発想と卓越した心理描写、独特の中2センスという点でやはり庵野秀明は他の追随を許しませんが、雨宮慶太はこんなんあったら面白いのになって思い付きそうな、発想としては割りと安直なところがありますがそれをちゃんと作りこんでいく段階で生じる問題をクリアーして構想段階での旨味を損なわず完璧に作品を作り上げる能力を持っていてやはりこの男も天才で間違いないですね。

この人の作るキャラは終始少年漫画の主人公ように真っ直ぐなのですが、第1話立ち振る舞いのように現実と照らし合わせるとナチュラルにぶっ飛んでいるとこがあって人を選ぶかもしれません。個人的にはその歪んだエネルギーの放出が好きなのですが。正直主人公のアルスちゃんは最後までそんな好きではなかったです。 あんまり深く考える子じゃないからかな。最初から一貫して魔法の素晴らしさを周りに説いていてあまり成長を感じられなかった。自分が全く知らない世界に放り込まれて何故そこまで自分の価値観を貫けるのかが分からなかったし、そういう点であまり共感できるキャラじゃなかった。シーラちゃんはツンデレでかわいいっすね。桑島法子さんの演技が最高です。最初、小清水亜美かと思ったんだよね。あんま聴き分けれらないです自分は…。朴璐美小林ゆうも難しいです。

ラストの展開は衝撃的でしたね。正直裏切り者がいるって話が出た時点で、エバちゃんの事がすぐ頭に浮かんだのですが、普通にそれは考えたくなかったので頭から放り出してしいたのですが…。かなりショックでした。絵的にエヴァとかに比べたらそんなにグロい訳でもないが、精神的に軽くダメージがありました。普通にこの作品でエバちゃんが1番好きだったので。それを想像がついてもちゃんと面白くやってくれるから凄いよな。細かい伏線とか散りばめてくれるし、二度目見たらまた面白そう。異世界転生魔女っ子ものでどういうのできるって投げられた時、まぁ良い題材なんだけど王道過ぎて凡庸な作品になりがちだと思うんだか、この作品は期待をなにも裏切らず、逆に言えばサプライズもないんだが良いファンタジーに仕上がってるんだよ。

ストレートなんだけど何故か変化球の雰囲気を帯びてるのがこの人の特徴なのかなぁ。面白いって感じる部分が人と少しズレてるんだろうな。そこが個性的で素敵なんだが、ジブリとかにはなれないだろうな笑。なんだろう、心理描写に深みがないというか。まぁ、そんなん無くてもこの人の作品は面白いんだよ。その分世界観の作り込みはすごいし。

劇場版名探偵コナン 天国へのカウントダウン(2001)


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劇場5作目。少年探偵団がメインの作品になり、あゆみちゃん好きなロリコンにオススメ。おっちゃんや蘭姉ちゃんの要素は薄め。犯罪のトリックというとこで見所はあまり無いが、蘭姉ちゃんとのバンジージャンプ、ラストのカースタント等見せ場は沢山ある。中でも灰原が珍しく感情むき出しになったり、爆破のカウントダウンを自分でするシーン等は灰原らしさが出ていていいなぁと思った。「時々自分が誰だかわからなくなる」などの台詞に込められた彼女の心情。なぜ自分がここにいるのか?名前も自分の本当の姿さえ捨てて生き延びた意味とは何か。その疑問に答えるのが本作の裏テーマと言える。

灰原のダウナーな雰囲気は名探偵コナンという作品においてヒヤッとさせられるようなシリアスさを担っていて魅力的だが、そんな彼女が少年探偵団の無邪気さに救われる本作は、本編に挿入されていてもおかしくないのではないかと思わせられるくらい彼女にとって重要なエピソード。

ラストの「吉田さんを泣かせたら承知しないから」って台詞とか自然と絆が感じられていいよなぁ。映画オリジナルのキャラや展開という意味で旨味は少ないがキャラクターの掘り下げが上手くいっていて、地味ながら良作。

テツコ - 愛してる(2019)


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日本のガールズバンド"テツコ"の4枚目くらいのアルバム。前作エロスはスランプでなかなか曲ができなかったらしいけど、最近なんか吹っ切れてのりにのってる状態のテツコ。前作まではどっか取り繕ったというか型にハマったようなとこがあったんだが、本作は音も言葉もメロディーも剥き出しでちょっとドギマギしてしまうほどです。" これが自分だ "というような開き直りを感じ、そしてその美しさに涙ちょちょぎれそう。テツコには天才のバイオリズムを感じる。ジョナサンリッチマンとかその辺のあれ。人の心臓にサラッと触れて抜き取るようなあの種のテクニック。

ほんとスタジオで併せたそのまんまみたいな何の飾り気もない音でギターがこんなにぶっ飛んでて良いのかと(興奮)。ノイジーなギターはフラットな状態で聞かされるからこそノイズになりえるんだと、ノイズギターやってる人達は見本にして欲しい。結局マッドハニーとかライブが一番かっこいいもんなあ。ということで音はめちゃくちゃカッコイイ。本作聴いたあとに、自主制作のテツコの哲学ってアルバム聴き返してみたらミックスが悪く聴きづらかった。あのアルバムはこのアルバムと対極にあるな。言葉も曲も作り込んでいて気合入ってるんだけど、こういうのが良いんでしょ?って感じが態とらしくて自分はダメだった。でもやっぱ音かな、好きな曲もいっぱいあるしリマスターとか再録してくれてもいいのよ。

本作に話を戻すが曲は全部いい。高速パンクチューンでキラーチューンとなる"愛してる"に始まり、イントロから名曲感溢れる"わたしのBABY"。ボーカルがなんか語り始めたら名曲って感じあるよね(ラルクの虹とか…)。「狂ってなんかいないよ」ってメッセージに共感。こんなに真っ直ぐ生きて、いけないようなかんじのする世の中だもの。この感覚を持つ人だからこそ鳴らせるアウトロのノイズギター。最早ワンコーラスでサビが"ライラライ"だけの曲およそ1分。そこに詰まった彼女ら独自のバンド感。ロックなんてこれで十分なんだよという開き直り。これが彼女らのスタンダード。ポップな"パーフェクトエンゼル"。エンジェルじゃなくてエンゼルなのが味噌。エンゼルパイを思い出す。チョコパイよりエンゼルパイの方が好きって人は正直でいい人だと思う。2番のヴァース、ギターの残響と歌とドラムだけなんだぜ?しかもまた1分台、この隙間は確信に充ちてる。続く曲は"ライラライラ"さっきと併せて冗談みたいなタイトルでまたサビがライラライラ言ってるだけ。挑発的ですらある。曲が中断されそして始まるギターソロは若干プリンスっぽい。テツコのセクシーでサイケな一面が覗く。そんで次の曲は"あいしてる"それ一曲目と同じタイトルやん(!!)ひらがなにしただけやし。売る気ないのかしら。レコードで言えば丁度B面の頭に配置されてて1曲目と打って変わって穏やかな曲調。愛の二面性を歌ってる可能性が微レ存!?そして軽快なベースで忍び寄る"珊瑚で指輪"またワンコーラスでサビまでドラム無し、そして終盤加速する。こんな曲を作ったのは誰だァ?"天使in悪魔"アートスクールで聴いた事あるようなリフで牽引するアップチューン。バランスのいい曲なのでテツコのバンドサウンドを堪能しよう。"湿っぽい歌は嫌い"テツコの切ないメロディセンスが充分発揮されたミディアムナンバー。これがあるからテツコは安心して聞ける。耳をつんざくノイズギターで振り切るラストナンバー"おやすみ"。疾走感溢れる曲に乗せて、テツコの世界観が凝縮されたお馴染みのフレーズが散りばめられる。寂しさを濁し出すメロディー。泣かせにきてる。これは確信犯だな。そして2曲目のあの名曲感溢れるコーラスに回帰する…。「今夜はもう品切れだよ!帰んな!」と差し出された最後の1杯の水割りのようだ。…名盤っすね。5回連続で聴いてもずっと良いから間違いない。新曲いっぱい作ってるみたいだし次のアルバムも早く出してくれよなぁ。

このアルバムは全10曲、トータル僅か30分切るかそくらいだけど、パンクやハードコアのアルバムで30分切るくらいなのはザラだったりするが、「短くない?」と思っていた時期が俺にもありました。

そういう時は『2回聴けば良いんだよ』と言われ時は衝撃でした。その精神をテツコにも感じる。音楽に全てを委ねるような依存の関係ではなく、自分があって音楽もある。音楽は人生のすべてじゃなくて友達として傍にあって、必要なら聴けばいいし突き放してもくれる。そんな健康な関係ってあるんだって気付かせてくれた。

ドストエフスキー全集4

死の家の記録

ドストエフスキーがシベリヤに流刑されて4年間懲役囚として過ごした経験を元に作られた話。これがあの『木の数を数えるだけの簡単なお仕事』の元ネタかぁ。uremaに死の家の記憶って曲があるけどこの小説が元ネタかな。兎に角描きたいことがあり過ぎて小ネタ集みたいになってて読みづらかった。死の家ってほど内容は暗くない。寧ろ囚人たちは粗野で沈んだ空気もなく笑えるくらい。だいたいカイジの地下労働編と似てる。あんま集中して読めてなかったのでまた読み直したい。

 

『ネートチカ・ネズヴァーノヴァ』

ネートチカって女の子の話。内容はネートチカの継父について始まり、ネートチカの幼少期から17歳あたりに成長するまで語られる。見所はネートチカの親が死んで引き取られた先の公爵の娘カーチェとの甘酸っぱい濃厚な百合展開。百合つーかもうレズってるねんけど、まぁたった8歳だからなにも問題は無いでしょう(^ ^)。その後2人は離れ離れになって、カーチェの再登場を楽しみにしてたのですが、遂に出ないまま終わり。若干散漫な内容でどうしたかったのかよく分からず、筆の向くままに描いたらこうなったって感じ。まぁ、薄味で読みやすくて良かった。百合最高。それにしてもシベリアの監獄の話から百合物って振り幅どうなってんねんと思わずにはいられない。高低差で耳キーンなる。

劇場版 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者


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劇場版4作目。これは駄作っすね。駄作とまでは行かなくて凡作…。前作が名作だっただけにねぇ。トリックが稚拙というか盛り上がる要素がまるで無い。ブラフとして出たキャラがブラフ過ぎて全然機能してないし、すげえ大事なことを唐辛子が辛くて話せないとかギャグかよ。コナンのとんでも行為に着いてこれる犯人に草。エンデイングテーマもぱっとしないし。まぁ、蘭姉ちゃんが記憶なくなるってのはヒロインみ増していい展開だし、ラスト蘭姉ちゃんの記憶が戻って起死回生のラッシュが気持ちいいからまぁええかって感じ。でもその後、何故大して見せ場のない警視庁のおっさんのかっこいい1枚絵で終わるのか謎。登場キャラの掘り下げが上手くいってなくて全員なんか間抜けに見える。

富野由悠季の世界展


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行ってきた。…疲れ果てた。よく考えたらわかる事だが、アニメ監督の展示なので展示物を観て楽しむというより、その裏側を読み解く作業を強いられ、しかもそれが凡そ半世紀に及ぶキャリアを持つ監督の物なのでその情報量(てゆーか文量!!)は膨大。昼から見にいったのだが、結局閉館まで居る羽目になった(それでも後半は飛ばし見てた)。正直苦行ぞ。相当の富野フリークじゃないとキツイ。展示物の半分は監督の絵コンテ。最初はほう〜監督普通にめっちゃ絵うまいなぁと思いながら見てたけど、後半はもう目の端っこに入れて終了って感じ。いや、素人が観ても面白いもんではないよ正直!後、富野監督の番組企画段階でのメモ書きなんかも多数見れてこれはファンには垂涎ものだと思う。僕も興味深く見てたけど富野監督字が汚くて途中で諦めた…。内容も難しいし。これが半世紀に及ぶキャリアの作品の数展示してあるから、もう訳わかんなくてなって残ったのは疲れだけでした。でもデザインのラフとかは普通に観てて楽しかったです。なんといっても各作品に携わる錚々たるメンツの原画の数々は見応え満点でした。安彦良和は勿論、大河原邦男、大好きな湖川友謙永野護いのまたむつみ、中でも∀ガンダム安田朗の油絵は圧巻でした。ロランにソシエがおんぶされて寝てるやつ!蒼く染め抜かれたその表情を覗き込むと涙が出そうになりました。あれだけでも入場料の価値はありました。てゆーか情報量からしてそれだけの価値は十二分にあるのだが、ボリュームがありすぎてとにかく体力的にキツかったです。富野由悠季が好きでたまらない人、体力に自信のある人にはオススメです。何となく知ってる、興味がある程度の人が行くとキツイかもしれないです。しっかし、アニメってすげえな。こんだけ才能ある人が結集して1個の作品を創り上げてるんだから面白いに決まってる。富野由悠季の作品は大好きなんだけど、感情移入し過ぎて見るの辛いから実は全然見れてないんだよね。まぁこんだけ、精魂込めて作られてたら当然か。でもこれが当たり前だと思わない方がいい。富野がやば過ぎる。アニメは富野作品だけ観とけば充分だろと思った。

堀辰雄 - 風立ちぬ、聖家族他

風立ちぬ

ジブリの元ネタらしい。映画は観てないけどcmで観たシーンから小説も始まるのでどうしてもジブリの絵でイメージしてしまう(苦笑)。ほんと何気ない結核で恋人が死ぬだけの話。これをどう映像化したのが気にならないでもない。主人公のおとこが小説家なので色々一人で考え込んでしまうが、その胸中を打ち明けると結核で死ぬ恋人は、「そんなこと思いもよらなかった」と言う。やがて主人公は恋人のことを小説に描き始めるのだがそのラストを決めかねていて、「どうしたらいいと思う?」と聞く。この時も「読んでないんだから分からない」と言われてしまう。そうした距離感が面白いなと思った。心を重ね合わせたもの達でも、死ぬものと生きるものでこんなにも違っている。同じように死という物を前にしても感傷的なんだけど、一緒に死ぬわけには行かないし、どうしたって死んでいくもの、それを見送る為の心の準備をするものという残酷な差異が現実が横たわっている。…そういうものかと思った。

『聖家族』

殆ど心理描写の話。複雑やなぁ〜。複雑やけど繊細で直感的。決して安易に交わらない。これが堀辰雄なんやろなぁ。

『花を持てる女』

堀辰雄の生い立ちの話。興味無い。

その他、特に感想なし。

解説によると菜穂子という作品がこの人の集大成らしい。小説は映画や音楽に比べて面倒くさいからいきなり代表作から読んだ方がいい気がする。