永遠の語らい(2003)

マノエル・ド・オリヴェイラ監督作。可愛い娘と綺麗なママがパパに会いに行くついでに旅行しながら歴史について語りまくる。時に視点はブルジョアのおっさんおばはんに代わってそのままの小粋な会話を交わす。基本的にそれだけの何気ない映画だが、(ラストはちょっと意外だが)衣装が可愛かったり子供の仕草が可愛かったり似たような絵のリフレインがあったりでギリギリ映画として機能していて何となく見れてしまう。僕は結構好き。

People In The Box - Talky Organs (2015)

もう完全にカラオケ文化とかロックシーンとか言うものから距離をおいたな。それでも成立する上質なポップスがあるということを証明するシーンにおいて良心的なバンド。こういう独自の音楽って正直売り上げも落ちるだろうし、雲を掴むような作業の連続だと思うが彼らのやっていることは正しいと思うので迷わず自分達の音楽を貫いて欲しいと思う。断固支持、めっちゃカッコいい。

やまだ紫 - Blue Sky (1992)

やまだ紫の漫画を男友達に見せたらお洒落系と揶揄されて少々気分を害した。彼女の作品には気持ちを掻き乱される物があり、それはとてもエモく引き込まれるものだ。これ以上写実的でもコミカルでもいけない絶妙なバランスの絵なのだ。決して雰囲気だけの漫画ではなくここには真実が描かれている。
だいたいやまだ紫の漫画は傍目に不幸に見える作品ばかりで、今回もそうかなと思っていたが違って良かった。彼女(主人公)の幸せの鍵は全ては後に旦那となる若い小説化の男が握っているのだが、でも実際こんな男はいないと思うけどね。男は家族の長としてすべての決定権を握りたがるものだし、それでなければそいつは馬鹿でこんなに嫁を健気に支えたりは出来ない。基本的に男はここまで柔軟ではない。そういう意味でこの漫画はファンタジーだ。しかし、その中に女性の思い描く理想の旦那像があり、将来リビングで家族に煙たがられたくないという男たちにはやまだ紫の漫画は必携である。にしても偉いのは息子の森生くんだよな。まだ小学生でおかんに彼氏が出来たら嫌だし、「おかんの恋愛話とか聴かされるのは気持ち悪い」とか男なら言うけど、それってすげえマザコンなんだよな。自分の母親には産まれた時からママでいてほしくて元々一人の人間であって今も本当はそうだってことを認められないってのが当たり前なんだ。いや、でも「いい年してなに言ってんだこのババァ」「恥を知れ」って方かもしれない(笑)。この子はモテるだろうねぇ。モテの対極はマザコンであると見つけたり!

エレファントカシマシ - エレファントカシマシ5(1992)

このアルバムでは一般的な会社勤めの男の亭主関白気味でちょっと古風な家庭を中心にした、細やかな幸せと鬱屈が描かれている。だが果たしてこんな家庭や暮らしが本当に今の日本で(アルバム発売当時でも)実在するのだろうか?それは否で何故なら、宮本という男は今風の言葉で言えばバリバリの社会不適合者に当たる人だと思う。そもそも彼はこの頃独身で実家暮らしのバンドマンであったわけだし、これは100%宮本の空想妄想の産物であり、現実のサラリーマンの暮らしとはかけ離れているものではないかと考えている。つまりこれは宮本の想像するサラリーマンに宮本がなりきって作られた楽曲で言ってしまえば茶番劇で、僕はそんな宮本が描く風景に共感を覚えるというよりそんな捻れた時空で暮らす宮本という男に対する悲哀を感じ、それが僕にとってこのアルバムの魅力である。これは別にディスっているわけではなくて宮本の表現力が一流であるから響く至高の芸術品であるということを僕は理解しているつもりだ。

People In The Box - Wall, Window (2014)

前作のシンプルながら歌のよさを追求した路線を更に推し進め、印象的なフレーズなども随所に盛り込み良質のポップス集として纏め上げたアルバム。若手バンドには作り得ない塩梅が素晴らしい。自分達だけでこんなに完成度の高いポップスを作り上げるアレンジ能力の高さが昔のバンドにはない凄いところだと思う。このようなバンドがいるのだから日本の音楽のレベルの高さにも誇りをもって良いと思う。しかし、一曲目のラッドやバンプみたいなクサくてしつこい歌詞はちょっとキツい。

People In The Box - Weather Report (2013)

21曲の楽曲を1トラックに収録した作品となっている。この仕様にはめんどくささしか感じないが、曲はどれもすごく良い。どれがどの曲なのか分からないのでどれがどうだとは言えないのだが、これまでの複雑な曲構成がすっきりシンプルになったのが良い。シンプル過ぎて、もしこれがデビュー作だったら完全にアングラバンドだよねという感じのアルバム。例えば戸張大輔とか好きな人にオススメのアルバム。

People In The Box - Ave Materia (2012)

演奏が複雑化してきたためこのアルバムでアコースティックサウンドに移行したのは当然と思える。中2病的なリズミカルな曲が減り、しっかり歌を聴かせる曲が増えたが、ゆったりしたメロディと手数の多い演奏がミスマッチだと感じる。市場はshing02のイカロスを思い出した。