読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大江健三郎 - 芽むしり 仔撃ち (1958)

凄まじい怒りと悲しみに満ちた本だった。文章は美しい言葉を選ぶより猛り狂う勢いとエネルギーで書かれていた。感化院と呼ばれる今でいう少年院に入る子供たちは山奥の村に疎開されるのだが、村で疫病から流行り村人は逃げ出し、村へ通じる谷は封鎖され彼らは村に閉じ込められてしまった。戦時中の人達は餓えていて凶暴で、子供たちは無邪気な残酷さを殊更強調して描かれていた。それは困難な状況に関わらず快活で野性的で気持ちが良かった。まるで冒険小説を読んでいるようだった。閉じ込められた村は子どもたちにとっては楽園だったのだ。今の人間は平気で死にたいとか口にするがそれはやっぱりすごく贅沢なことで、彼らは親に見捨てられたことを嘆いたりはしない、彼らは仕事があることを喜ぶ?生きることにどこまでも前向き。物語の展開に意外なところはなく当然の流れで進んでいき、ヒヤヒヤさせられることはない。ところであれだけホモネタを繰り返す南は実はガチホモなんじゃないかと思う。尻の化粧って意味不明。