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北杜夫 - 天井裏の子供たち(1966)

短編5編から成る御本。最初天井裏の子供たちってタイトルから何となく虐げらた子供達のセンチメンタルでファンタジックな話かもしれないと期待したが、全然違って天井裏で忍者ごっこに興じる男の子たちの現実的な話であった。別にそれでも良かった。【もぐら】は精神病院の患者たちの話で楽観的で楽しかった。黒人との混血児の患者が特に面白かった。精神病院はどうしようもなく精神薄弱者においては厳しい現実とは隔絶された理想郷として描かれている。個人的に感じるところの多かったとだけ記しておこう。【天井裏の子供たち】はアパートの天井裏を秘密基地にして漫画の影響から自分たちを現代の忍者と呼ぶ少年たちがいて、その活動は社長の息子である友達の家から金を盗む(彼らはそれを忍法と呼ぶ)など、立派な犯罪であるがその精神は幼稚極まり、それが彼らにとって救いであり彼らが大人になった時ヤンチャだったよなと笑い話にできる程度のことなんだろうなと想像して、得だなと思った。【静謐】はどうしても楡家の人々の大奥さまを思わせるおばあちゃんのクレイジーな昔話をまだ何にも分からない孫に聴かせるというひん曲がった話で一風変わった趣きがある。【死】【白毛】は私小説で軽く心をくすぐられる場面がチラホラして良いなと思う。