北杜夫 - 優しい女房は殺人鬼 (1990)

繊細で小心者の童話作家である主人公が女房が自分を殺そうとしているという疑念に取り憑かれる話なのだが、最初は主人公の小心から繰り出される妄想が笑えたが、それにだんだん呆れてきて、遂には哀れに思えた。そのカタルシスが訪れるまでが遅く(呆れてしまう期間が長い)、ひょっとしてこの本面白くないんじゃと思ってしまったが、娘の糞ビッチっぷり、若い編集者の活躍に助けられ、ラストの畳み掛けで結果面白かった。最終的には全て妄想であったぽいが、とすると主人公と若い編集者の狂いっぷりが浮かび上がってくる。取り分けいつも自信満々の若い編集者が気を許した主人公に見せた情緒不安定ぶりはリアルで良かった。あぁいうタイプは上に立てないだろうな(笑)