音のない世界で(1992)

ドキュメント映画監督ニコラフィリベール監督作。聾学校のドキュメンタリー。ニコラフィリベールの作品は出演者がカメラを全然意識していなくてフィクションのように感じるのは一体どんな魔法を使っているのだろう。煩くない子供って可愛すぎる。顔が煩いって揶揄があるけど、手話で話す人はみんな顔が煩くてユーモラスに見える。でもやっぱり耳が聞こえない事がコンプレックスで暗い人もいる。背負っている悲しみの原因がハッキリしているのですごく感情移入してしまって、みんな魅力的に見えた。聾者が聾者同士で結婚することが多いのは、聾者は健聴者に対して敵愾心を抱いていて無理して健聴者と付き合ってもしんどいだけだし聾者には聾者の世界があり健聴者にはそれを理解できまいという聾者のプライドがあるからだと思う。(そのプライドを認めてか、僕は一生結婚しないというシニカルな人もいた。)手話が万国共通でなくて少し違うということにも聾者のプライドを感じた。そのプライドは当然のことで批判する気は全くない。健聴者と聾者の間には言語の違い以上の深い溝があるようだ。その溝の向こうから可哀想だとか聾者故に魅力的だという理由で勝手にセンチメンタルに浸るのを恥じるべきことで、この作品を見て感動すべき点は同じ人間の持つ心にだと思う。