幸田文 - 闘 (1973)

この人の本は小説にしてはその場に居るような臨場感よりも、一歩引いた感想文のような冷静に突き詰めた目線があって、それだけにリアリティがあって何でそこまで本当らしい事が書けるのかその想像力に驚かされる。病院を舞台にそれに纏わる人々の話が繰り広げられ、基本的に1話完結で読みやすい。幼い頃から病気で母親と共に病気を治す事を目的に闘病生活を送ってきた少女が17歳でやっと病気が治り退院する段になって、社会復帰に対する恐怖に打ちのめされ自ら命を落とす話などは感傷的になるよりも現実として重くのしかかってくるような辛さがあった。