オテサーネク(2000)

ヤン・シュヴァンクマイエル監督作。面白かった。この人の映画は教訓めいた所が一つもない。どんな低俗な作品でもストーリーを方向付ける為の道徳またはそれを裏切るものがあるが、この人は単なる露悪趣味と言ってもいい。ヤン・シュヴァンクマイエルの映画を作る上での十戒というものがdvdのメニュー画面から観れるがそこで監督は「幼少期のトラウマやなんかを表現するのが最も好ましいやり方だ」みたいなことを語っていた。映画内では少女は絵本の中のオテサーネクという恐ろしい怪物に感情移入してしまうのだが、それは道徳の身に付いた人間からすれば「何で?」と思うが、監督はそこに真理を見出だしているのだと思った。監督は「芸術に価値があるとすればそれはオートセラピー(自己治療)。自分を癒し解放するものでなければ観客を解放することもできない」みたいなことも語っていた。自分を解放して作った物がこれだけ露悪的で人の共感を得るものではないということに僕は憐れみを覚えてしまう。まぁ、僕も少女がオヤジにしばかれる度笑ってしまうタイプの人間だが(笑)