シテール島への船出 (1984)


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テオ・アンゲロプロス監督作。相変わらずの説明不足っぷりと、特に客の気を引くつもりもない淡々とした展開で、ぼーっとしてると水のように流れていきもうそこにはない…。興味のない人にはあらすじすら理解されず終わる映画だろう。しかし、注目して観れば幾らでも発見がある。そういう押し付けがましさのない深みがあるのがこの監督の作品の良いところ。監督は独特な視点を持っていて、殆どがロングショットで画面の切り替えを極力しない超長回し、役者の演技を捉えるというより、人間がぞろぞろ集まって離れていく、そうした推移を眺めているのが好きなんだろうな。役者の演技よりも、そうした人間が起こす団体の行動からその状況や人々の心理を読み取るのがこの監督の映画の醍醐味である。それは面白いんだけど結構面倒くさい事でもあり、この監督の映画を観ているとどうしても一時間くらいで眠くなる。だがそこでパソコンで見ていた場合、二窓にして別の作業を始めたりするのはいけない。淡々としながらも変化の激しい繊細な作品なので直ぐに内容を見失う。退屈なようで常に映像にはなにか仕掛けられていてそれを読み取る努力でギリギリ寝ずに済む。このとても微妙なバランスはこの監督しか持っていない唯一無二の世界。そして常に考えられた美しい構図。自然。建造物。それしか映っていないスキのなさ。…どうやって作っているんだろうと思う。まさか老人が海の上に傘を指して立っている画から想像していったりするのだろうか。この人の作品は一回見てダメでも再チャレンジすれば、結局どれも同じくらいの評価に落ち着きます。そうならなかった時は自分の観察が足りなかったのだと…(笑)。