宮崎駿 - 風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡(2002)

90年〜01年にかけて5度行われたインタビュー集。聞き手は音楽評論家の渋谷陽一

 

先ず、インタビューというのは会話だから半分は聞き手によって作り出されるもので、聞き手がどのような人物であるかも非常に重要。この人の場合、相手に対して必要以上にフランクで挑発的とも言える語り口で兎に角しつこくてウザい。その辺はAmazonのレビューでも批判的に書かれていたことだが、しかし、逆にこれだけ宮崎駿に対してガツガツ行ける人も珍しいだろう。この人でなくては「宮沢賢治もオナニーしたと思う〜」とか、しょうもない台詞引き出せなかったと思う(笑)そういう下世話な所がロックライターらしくてこの本の良いところ。

印象に残ったのは「ナウシカは人殺しをする、罪を背負っていける少女だから描く価値がある〜汚れがないから美しいってそんな価値観はくだらないじゃないですか」というところ。(いや、もっとあったと思うけどへぇ〜面白いくらいのもので、僕が特に気になったのはこの宮崎駿の女性観…いや、性癖に関わる部分。)これは簡単に言って処女厨批判。尤もだと思う。しかし、宮崎駿の場合それだけに留まらない業の深さを感じる。例えばナウシカもののけ姫のサンといった争いの中で生きる気高いヒロイン達、彼女らの劇中での描写は悲惨で、全身を無数の虫の触手に撫で回されたり、体中から呪いのミミズが生えてきたり(あと千尋の腐れ神とかね)と、普通の少女なら心に傷を負って一生立ち直れないレベルの出来事に彼女らは見舞われる。…正直ドン引きである。これを観た視聴者はもう彼女らを萌えの対象として見ることはできないだろう。しかしそんな中、宮崎自身だけが「俺はそんなん全然平気だぜ?」とうい態度でピンピンしてる。彼はドン引きの変態行為をヒロインに加えオタク共を寄り付けなくし、自分だけが愛でられる最高のヒロインを映画の中で作り出しているのだ。しかも、その上でやっぱりジブリヒロインはみんな処女なんだ!なんと業の深いこと!!僕がずっと感じていたジブリの気持ち悪さの正体ってこれだったんだと納得した瞬間であった。

 

この本でも語られたが手塚治虫そして宮崎駿。この二人僕は正直苦手である(勿論好きな作品はあるし偉大だと思うけれど)。共通点は最高に業の深い気持ち悪いことをやっていて、それなのにポピュラリティを得ているということ。つまりは才能に対する嫉妬だろう。

ちなみに僕がジブリで一番好きなのはとなりのトトロで、サツキよりメイ派です。