TTUD - TTUD(2019)


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東京のバンドTTUDのファーストアルバム。90年代に無数に存在したアメリカのエモ、オルタナ周辺の、あまり人気のない、だけど独特な存在感を放っていたバンド達。例えるならCastorとか、あの辺りの雰囲気があるバンド。初めて聴いたのはSoundCloudで流れてきた8月って曲だけど、曲はカッコいいけどこの下手なビジュアル系みたいなボーカルはどうなんだろう…と思っていたら、ラストサビでボーカルが勢い任せに叫び出して「こいつアホやw」と思って一気に気に入った。そこからデモやライブ音源を聴き漁って個人的に待望のファーストアルバムだったのだが、一聴するにちょっと期待し過ぎたかなって印象。このバンドは前述の通り海外のインディーバンド由来のコアなセンスが特徴でアルバムにもそういう物を期待してたんだけど、蓋を開けてみるともっとポップなアルバムに仕上がっていた。これは録音やMIXのせいでもあると思うんだけど(録音はART-SCHOOLやノーベンバーズで有名なトリプルタイムスタジオで安牌かなと思ったんだけど)、楽器同士の分離が悪くゴチャついてうるさいし、その中でもボーカルを際立たせた如何にもJ-ROCKな音だなと思った。悪くはないんだろうけど、このバンドのやってることには合わないのかなと思った。デモに収録されている曲を除いた新曲群の中でも4曲目の手を振るはアジカン並みにポップな曲で意外性があって良かったけど、5曲目のようなベースが引っ張るタイプの厳つい曲は無理してる感じがする。9曲目はdipみたいでなんか違うし、7曲目12曲目のような明るいトーンの曲ははっきり言って向いてないと思う。このバンドは陰性でも陽性でもない、コードやリフで構成された楽曲の強度だけで聴かせるという…雲を掴むような話だけどそういうバランスが理想で、デモ音源の選曲を見る限りその辺りはバンド自身も自覚的だと思うし、そこがこのバンドの海外インディー勢とも日本のバンド諸君とも違う特別な所だ。このアルバムはその辺り手を抜いたか、バランスを考えるに当たり色気が出たか…今一歩のところで名盤になり損ねたなというのが正直な感想。それでもやはり曲そのものの出来は素晴らしく、  飽きずに繰り返し聴ける。これからもマイペースにちょこちょこリリースしていってほしい。