それでも世界が続くなら - 最低の昨日はきっと死なない(2016)


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メジャーやめて自主制作のアルバム。今作は敢えて音楽的に整った感じでなく、無意識的に瞬発的に感情の赴くままという感じで曲を制作したらしい。前作で出し切った感があるので、ここで一度自らに揺さぶりをかけることで自分たちの中心が何だったのか確認したかったのかもしれない。おかげでスローでアンビエントでシューゲで突き抜けたナンバーが並んでいる。これはこれで面白い。

01.昨日が終わるまで

救いのない内容。このアルバムが自分の為だけに作ったという事がよく分かる。スローでシンプルな構成ながらドラムのビートがちょっと変だし、合間のブレークでのベースのフレーズが面白かったり随所に気が利いてて飽きない。しかしオープニングにこれを持ってくるって完全に一見さんお断りのアルバムだな。

02.浴槽

このバンドで最も純度の高いシューゲイザー曲。アンビエントの極みを行くリードギター、暗い音像で終末的なビートを刻むドラム。それらを曲として成り立たせてるベース。あとそれに歌が乗るだけというミニマルな構成。詩も最低限のメッセージだけ。後半爆発する篠くんのギター。まぁ、こうなるしかないよなという展開だけどこういうの1回はやって欲しかった感。この引き算の美学は洋楽的だ。ひたすら美しい。

03.冷凍保存

リードとリズムが同じ抽象的なギターフレーズをずっと弾いてる。サビがなくてAメロBメロだけという、これまた実験的な楽曲。アウトロだけしの君のギターが爆発して最後だけCメロがたるという緊張感のある構成。

04.ひとりぼっち

鈴虫の鳴き声みたいなんをバックにしの君が弾き語りしてる曲。しの君の歌はいつも通り優しげなんだけど、何が起こってもおかしくないような緊迫感がある。意外や意外ギターが爆発しない。

05.傾斜

シーソーと消えない歌の続編らしい曲。…そして先の曲の爆発されたなかった緊張感を維持したままアンビエントなギターが響きわたりなんとも言えない不安が広がる。前曲からの流れで予定調和でないヤバい領域に踏み込んだ感が凄い。

06.落下

ようやくロックバンドらしいかっこいいベースが始まる。相変わらずギターはアンビエントな世界を奏でてる。つーかこのアルバム中ずっと途切れなくこのリード弾いてないか?

しの君のノイズギターもキレが凄いですね。もうリズムギターという概念すら放棄し気味。決めだけ担当って感じ。ベースがかっこいいから余裕だね。

07.少女の放火

ベースの音色が最初神経質で優しく徐々に暴力的になっていく。こういうストリーリテリングが上手いよなぁ。メロディーは結構普通なんだけど異常にノイジーだし、この音源の独特の籠った音質も相まって不穏な曲だ。

08.最後の日

唯一ポップな疾走オルタナナンバー。でも音質がやっぱ普通じゃない。ドラムが敢えてシンバルあまり叩いてないせいとかかな?何が起こってもおかしくない緊張感を強いられる感覚。

09.失踪未遂

もう面接とか気にする領域の話じゃないような音世界だけどな笑。独特のビートを刻むドラムに乗じてノイズに傾くしの君のギター。これはもうシューゲつーかポストロックだなぁ。フライングソーサーアタックのサードがこんな感じだったなぁ。ボーカルのみポップ。

全体として…これだけ実験的な楽曲を揃えて聴けるのはバンドの実力が高い証拠だな。逆に日本の歌物よりシガーロスとかモグワイとか洋楽のポストロックが好きという人はすんなり聴けたりするかも。ぶっちゃけ自分はそんな好きな曲ない。前作が最高やと思ったのでどうしても冷めて聴いちゃってる部分があるかもしれん。でも、このバンドの表現の幅を広げるという意味でこのアルバムは有意義やったと思う。