NANANINE - 12E12(2002)


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福岡出身の4人組ロックバンドのファーストフルアルバム。自我の目覚め。無敵の中学生。彼等は天然の天才です。作為的なところが全くなく純粋だ。有り余る才能が制御しきれず、それになすがままであるが故に評価が定まらず、時代の流れの中で忘れ去られて言った存在という感じ。だが彼等の才能はずば抜けていて、今聴いても全く古びることがなく、いつ聴いても瑞々しく輝いている。それを今一度確認して欲しい。このアルバムはまだ彼らが彼ら自身の才能という暴れ馬を上手く乗りこなしていた時代の作品だ。

1.ハミングベイブ

オープニングの小品っぽいけど、3分弱ある。オシャレなギターフレーズが印象的。バンド演奏だけでこの世界観。夢の世界へのイントロダクションとして深みは十分。

2.ジムアンドフリーキー

彼らの代表曲。正統派オルタナの名曲。細かく印象を変えてくるリズムギターダイナソーJr.ばりに吠えるリードギター。フリーキーな上物を支えるベース。ひたすら楽しそうに転げ回るドラム。最高なバンドなんだよっていう名刺として完璧。歌詞の内容もけっこう独特なんだよね。僕と君の事しか歌ってないんだよな。間違っている価値観だったとしても構わないさって感じが自由だ。若さ、怖いもの知らずな強さ。普遍性を感じさせない刹那的な価値観が逆に普遍的だって思わない?

3.オーリー

ナナナイン的にはオーソドックスな曲なんだろうけど、コード進行やメロディがかなり独特なんだよね。彼らの特異で強靭なポップネスを感じられる楽曲。

4.フランジ

ヘビィメタリックなギターでゆっくり展開する楽曲。ブラック・サバスみたい。そこに浮遊感漂うメロディが乗る。フワフワグランジでフランジ、安直だな笑。てゆーかこの曲すごくない?手に取って確かめられるような力強いメロディなのに、夢の中みたいな浮遊感も同時に兼ね備えてる。不意に頭のなかに浮かんでくる曲。

5.ローリングトーンズ

ローリング・ストーンズっぽいっと言えばまぁ分からんでもない、オールドなukロック。彼らのグルーブは渋さがないね。遊んでるみたいな楽しさに溢れてる。そのおかげでこういう曲をやっても全く古臭くならない。

6.ストローク

隙間なく紡がれるベースがいいね〜。能天気なだけでなく続いていく日々の中の希望と共に重圧も同時に演出してる。

7.ツインキー

滅茶苦茶ポップで笑いながら泣いてしまうというのはナナナインではよくある現象。めちゃくちゃいい曲。めちゃくちゃ才能あるよな。天下とってもなんの不思議もない完璧なポップス。

8.デイスリッパー

全編変拍子リードギターもフリーキーでどこまでも攻めてるのに、全部ポップにしてやるよという気概が窺える挑戦的な楽曲。前の曲が完璧なポップスだったのに対し、その対極を行く恐ろしい才能。今でこそThe cabsとかのおかげでこういう解釈は受け入れられているが、当時はポップに纏め上げるメロディの部分だけしか評価を受けていなかったんじゃないかな。時代の10年先を行ってたな。

9.in the night

シンガロングを想定したのかもしれないスケール感のある楽曲。そんな空間を意識した楽曲の中でもサビに鋭いリフを用意していてロックバンドのグルーブ感も損なわせない手法が独特。

10.スイングパーク

名曲。これまた複雑なリズム、そして感動的な歌詞とメロディ。ここまでエッジの立った演奏とポップネスが高度に融合して成功している例が他にいくつあるだろうか?ところでコーラスはなんて言ってるんだろう大切なーかな?

11.ピンク

めちゃくちゃ好き。ぶっ飛べる。楽器が全部いいんだよね。特にベースがグルーヴィーだ。後半ドライブするとこまで最高にテンションが上がる。

12.ミニー

インドっぽい呪術的っていうのかな?そんなコード感…。それに乗るのはやはりポップなメロディ(よく思いつくな…)。スタジオの偶然の産物を一発録りしたような幻想的な不思議な楽曲。手作り映画のような新鮮味のあるエンディング。

 

総評としては、この頃は良かった…笑。いや、この後も好きなんだけどこの頃は楽しそうで…。特にボーカルの人ですがこんなに毒気のない人間を自分は他に知らないです。それ故に自らの闇を見つめられず敗れ去った。ただの敗者としてただ忘れられていくには惜しいほど煌めきと独自性がこのバンドにはあったとここで主張したい。難点は曲名がどれもパッとしないこととバンド名が今聴くとダサいってとこ。先を見通す目がイマイチ冴えてないっていうか全てにおいて刹那的なバンド。