ケイゾク(1999)


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スペックの脚本西荻弓絵と監督堤幸彦のコンビによる刑事ドラマ。タイトルのケイゾクとは迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係のことをそう呼ぶ。時代とはいえ、毎回警察の係長の援交ネタから始まるって相当狂ってんな笑。まずこの作品の魅力はなんと言っても渡部篤郎。彼の狂気的な演技を無くしてこの作品は語れない。この作品は全体的に雰囲気がB級っぽい(主題歌のエロゲ感といい…)。B級だからこそ越えちゃいけないラインを越えられた作品と言える…。トリックや証拠に「んっ?」となる部分が多くて刑事ドラマとして観ると正直イマイチだと思う。しかしこのドラマで良いのはいつも犯人の動機にマイノリティーへの救いがある所だ。犯人に同情させるような作りになっていて事件が解決してスッキリする事が一回もない。特に5話の霊能者の事件は秀逸で例えば踊る大捜査線なんかはコメディー的なイメージとは裏腹に非常に現実的でシニカルな視点があるのに対し、こちらは超常的なものに対し好意的な視点を表す。それまでの刑事ドラマと一線を画す所だ。それがこの後の展開に対する布石にもなっている。

まぁ、その終盤の展開が個人的には気に入らない。メインキャラがバッタバッタと死んだり死んだっぽく演出されるのは好みの別れるところだ。8話から急速に物語の焦点が真山の背景へと絞られていくのだが、この作品の1番の魅力はなんと言っても渡部篤郎の狂気的な演技だ。しかしその背景が見えてくる度にそれがどんどん陳腐化していったように感じられた。それは黒幕の朝倉というキャラクターのつまらなさに寄る所である。朝倉は催眠術を駆使し人々を操り殺人を繰り返し…その姿を次々と変える正体不明の殺人鬼だ。そのキャラクターは黒沢清のcureに出てくる萩原聖人演じる間宮に酷似していておそらく作品自体強い影響を受けてる。朝倉はその能力とは裏腹に性格は凡庸だ。彼は殺しをゲームと語っており、自分の能力に酔いしれ人を威圧し恐怖で支配することを好む。最終回の野口五郎の演技から察するにその性格も幼稚でありがちなイキってる厨二病患者みたいで痛々しい。もっと特別で底知れない恐怖を感じさせるキャラであって欲しかった。こいつのキャラが浅いせいでそれに翻弄される真山も微妙に見えてしまう。あと最後の柴田と真山のキスシーンとかマジで要らん。このドラマはもっとひねくれてダークに締めるべきだ。実験的要素が非常多くその失敗と成功も顕著で非常に惜しい作品だと思う。