鉄風Pを久々に聴いた。

https://nico.ms/sm21330645

鉄風pって知ってる?ニコニコ動画で2009年くらいに活動してたボカロpで、中学〜高校くらいの頃よく聴いてたんですよ。その頃自分はニコニコ動画観てるのが恥ずかしくなってきてるくらいで(今はまた戻ってきてる笑)、初音ミクとか特にダメでこの人の曲だけこっそり聴いてたけど、今聞き返すとそんな自分が馬鹿らしくなるくらい純粋に素晴らしい音楽だ。自分のコード感を持ってる人の音楽は色褪せないよなー。特にこの人はそれに乗るメロディーのセンスが素晴らしい。しかも、とても想像力豊かな展開をする。今更ながらいくつか感想を書こう。

パヤパヤ☆シャララ

この人の初めて聞いた曲かな。この人の中で1番魔法がかかってる曲だよね。奇跡的な名曲。日本でこの曲を超えるオルタナ曲は数える程しかないだろう…ってくらい。いつ聞いても泣きそうになる。てゆーか泣く。この人、曲はもちろん素晴らしいんだけどそれにも増して歌詞のストーリー展開が凄い。曲って気持ちいい方に作っていくと勝手に展開がついてて、歌詞は後付けだったりすることってよくある事だと思うけど、この人の場合、歌詞がその展開に意味を与えてくれてる。そうあるべくしてそうなってるみたいな。だから曲に対する没入感がエグい。曲の主人公が見てる景色と同じものが見える。聴いてると鳥肌たちすぎて寒気がする。この人は名前の通りナンバーガールのファンなんだけど、こういう才能って例えるならピープルインザボックスが同質の物を持ってるよね。ピープルはボーカルが余計な情報の少ない語り部的な声質をしていて物語を伝えるのに非常に適している。それは初音ミクと重なる特徴だ。この前こんな曲出したから今度はこれをしてみようって、なんかそういうの意識してできる賢いとこも近いかなと思う。

 

春の嵐

改めて今聞き直して断トツ凄いと思ったのがパヤパヤ☆シャララとこの曲。まぁ、人力では不可能な感じのタイトルどおり嵐のように言葉が詰め込まれたボーカル。言葉を詰めると理屈っぽくて鈍重な印象になりそうだけどこの曲はめちゃくちゃ爽やかで気持ちいい。この点は初音ミクの特性を上手く利用してる。どれだけ言葉を重ねても詰まることはないし息継ぎの必要も無いしね。この曲とにかく展開が個性的で素晴らしい。後半1回だけ大サビがくるその流れが秀逸だが、更にその独特のメロディーの素晴らしさには本当に感心した。この感じって戸川純とかが時折見せる巫女的な大自然を纏う神秘的な侵し難い雰囲気と似てる。3分切ってる曲でこれだけ大きな感動を得られるのはマジで天才。

 

ウォータースプリング

この人の曲の中で一番平凡。それだけにこの人のど真ん中にあるコード感を味わえる曲。久々に聞き直してこの曲で只者じゃないなと確信した。やっぱコード感にオリジナリティがあるんだよな。ボカロ曲なのに間を余裕綽々で聴かせることができる稀有な才能を持ってる。恥ずかしがってたけどやっぱ俺昔から見る目あったんやな…。

 

どくとるマンボウ青春記

北杜夫にインスパイアされてる曲だけど、この曲はナンバガ感がかなり高い。この曲を聞けばナンバガとの違いを意識できるはず。先ずピアノが入ってて爽やかなんだよね。そして最大の差異はアンビエント的な間の使い方にある。この曲の中盤挟まれるピアノソロを聞いて欲しい。もう完全にアンビエントミュージックなんだよね。この音数の少なさをポップスにぶっ込めるのはマジで頭おかしい。これで飛び道具になってなくてポップスとしてストーリーの流れの1部に取り込んでるそのバランス感覚がすごい。ナンバガのバンド特有の狂騒感はないけど代わりにこの人の曲には限りない静寂がある。

 

ハイパーワールド

ナンバガの次はくるりスーパーカーかって感じの打ち込みのデジタル風味の曲。効果的なギターのカッティングがかっこいい。全くタイプの異なるタイプのギターが弾けて多才だな〜と思う。ナンバガくるり辺りの所謂97年世代を追ってたファンってこういう新しい物を取り入れてバンドが進化する感じに弱いんじゃない?初音ミクだからデジタルとの相性は勿論良いよなと思わせつつ、ここでは寧ろ反対に有機的で伸びやかなメロディーをなぞっているのが特徴。ひねくれてる。

ヤンデレ

この人のなかで一番変態な曲。変拍子に記号的な歌詞、奇妙な展開とその変態性を初音ミクの可愛らしさを利用してポップスに昇華してる手腕が流石すぎる。ヒカシューの曲にあってもおかしくないよね。この曲は初音ミクイカれたシャウトを聴くためにある曲笑。得意のストーリー仕立てでちょっと主人公の女の子に愛着が湧き始めた辺りで放たれる悲痛な怪音に心が乱される。好きだな〜笑。

 

君に☆スプラッシュ

確かこのタイトルでみんなで曲作ろうってイベントに参加した時の曲なんだよね。風俗街で働く女の子の歌で☆スプラッシュってこれ下ネタだろ…。てゆーかこれに勝てる奴いないだろ。見事に代表曲みたいになってるもんな。ナンバガっぽいドラムとギターのせめぎ合いから、童歌みたいなBメロがきてそっからオーケストラみたいなってタイトル連呼するロック王道のサビに行き着くがそれに対するコーラスが自由すぎる。完全にふざけてるが、おふざけのセンスが良すぎる。パヤパヤ☆シャララ作った人と同一人物とは思えない程のユーモアだ。

 

舎利禮文

この人最大のヒット曲。ランキング一位とかそのレベルなんだよね。アーティストが全神経を集中させて1番すごい曲を作ってやろうって気合い入れて作った曲。その甲斐あって凄まじい魔力を誇ってる曲。ピープルで言えば旧市街みたいな。勿論namuamidabutsuから影響を受けてるんだけど、完全に消化して全く別の所謂神曲を生み出してる。ストイックにリズムを刻むピアノと対照的に炎天下の中お焚き上げしてるようなジリジリ燃え上がるギターがかっこいい。

 

これだけ素晴らしい活動をしてたのに今は曲全部消してて普通には聞けないんだよね。今どうしてるんかな。プロになってるんかな。なっててもこの頃以上の曲は作れてないだろうな。この人にとっても青春だったんじゃないかな。これだけの曲を残せれば十分だよな。